フェアトレード事業部担当 竹内彩帆
3月17日、ロックダウンが始まった。
新型コロナウィルスの影響でアクセスの事業地を含むフィリピンのルソン島全域に、ロックダウンが発令されました。日本のように「自粛」という緩やかなものではなく、外出のためには許可証の携帯と提示が求められ、移動制限への抗議活動に対し「過激な行動をとれば射殺する」という大統領の発言に示唆されるように、非常に厳しい管理の状態です。ロックダウンは、当初4月15日までの予定でしたが、4月30日まで引き延ばされることになりました。
アクセスの事業地である貧しい農漁村や都市スラムの子どもたち・その家族は、漁に出たり、ココナツを収穫したり、路上で物売りをしたりゴミ拾いをしたりして、日々の生活費を稼いでいました。外出が禁止されることは、突然の収入の断絶を意味します。貯金などをほとんど持たないため、そのような人々は食べること、つまり生命をつなぐことが難しい日々に突入しました。
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「働かせてほしい」という電話から
農漁村や都市スラムの人々のことが気にかかるけれども、日用品の買い出ししか外出が許されないロックダウン下では、フィリピンの現地スタッフも自由に動き回ることができません。
「何もできない。どうしようもない。」現地スタッフも、日本のスタッフももどかしい想いで日々を過ごしていました。
そんな時、現地スタッフのジセルは、フェアトレード生産者の一人から電話を受けます。
「どうしても働かないと、食べていけない。日本から注文は入ってない?どうか仕事をさせて。」
日本からフィリピンへは、メッセージカードもココナッツ殻雑貨もたくさんの発注をかけていました。ところが、外出して作業場に行くことができません。外出者がいないか警察などが監視する中で、リスクをとってでも稼がなければならない状況に追い詰められていました。
「何とかしなければ!」
ジセルはその電話が大きなきっかけとなり、行動することを決意。スマホで他の現地スタッフと密に連絡をとり、思うように動けない中でもできる支援のカタチを企画書にまとめ、日本にいる私たちに送ってくれました。
そんな中、日本では元フェアトレード事業部ボランティアの今町くんから、こんな連絡を受けました。
「新型コロナウイルスがフィリピンでの暮らしにもかなり影響を与えているとSNSで知り、何かできないかと自分なりに考えてみました。アクセスのフェアトレード商品の予約販売を募って『コロナを乗り越え生産が再開した暁にお届けします』というのはどうでしょう?」
フィリピンのジセル、そして日本の今町くんの「声」がきっかけとなり、私たちは「労賃前払いの寄付つきフェアトレード商品セット」を企画することにしました。
「フィリピンの貧しい人の力になりたい!」けど・・・
このような状況で「フィリピンの人たちのために」と声を上げることは、「日本人が大変なのに、他国の人間の支援を呼びかけるなんておかしい」という批判を生じさせることになるかもしれません。また、批判まではしないけれど、「フィリピンの貧しい人たちが大変なことは、よくわかった。でも、私だって、大変だ」って言いたくなるのは、ごくごく普通の感情のように感じます。
わたし自身、コロナウィルス関連の報道に気持ちが落ち込んできています。先日スーパーでレジに並んだら、「離れてッ!」と前に並んでいた女性に手のひらをかざされ、驚いたのとともに大きなショックを受けました。また、「疲れました」と人に吐露したら、「そりゃ・・・みんな疲れてるよ」と言われ、気持ちが折れてしまいそうにもなりました。
できるだけ気にしないように、自分の仕事に一生懸命になることで止まらないようにしてきました。それぞれができることを頑張っている今、私だけが疲れているわけではないことはよくわかっていたつもりでしたが、「みんな疲れているよ」という言葉は、「みんな疲れているから、『自分が疲れている』って言ってはいけない」と言われているような気がしました。
みんな、疲れていると思います。疲れの度合いは人それぞれ違っても、なにかしら今までの生活で受けていたものとは違うストレスを感じている人が、日本どころか全世界にいると思います。でも、その状況であっても「みんな大変=自分がしんどいということを言ってはいけない」ということにはならないんじゃないだろうか、ふと思いなおしました。「みんなが大変」な時かもしれませんが、「私、大変、疲れている。」ということを認め、向き合うことがあってもいいのだと。そして、自分の日々の中に、自分自身を大切にし、少しでも自分自身が癒されるような時間があってよいのだと。
あなたにとって「いいお買い物」でありたい。
私たちは、フィリピンの生産者を支えたくて今回の「寄付つきフェアトレード商品セット」を企画しました。でも同じぐらい、この不安が立ち込める現状で頑張っている、あなた自身やあなたの大切な人へのプレゼントとして気に入っていただけたらとても嬉しいなと思っています。
私たちがフィリピンでつくっている商品は、どれもこれも生活必需品ではありませんし、ウィルス対策に役立つものでもありません。でも、すり減った心と制限された生活に、一息つくことのできるグッズではあると、思っています。
当初の計画では「寄付つき商品セット」を予約販売し、フィリピンのロックダウンが解除されたあとに生産者がつくった商品をお届けする予定で考えていました。でも、変わってしまった日常の中に、自分にとって心地の良い新たな日常を取り入れる機会として、できるだけ早くお客さまに私たちの商品をお届けしたいと思いなおしました。全国で緊急事態宣言が出され、アクセスでもリモートワークに移行しているため即日発送とはなりませんが、一週間内にご注文いただいたものをまとめて発送させていただく予定です。
今回はすでに日本にある商品をお届けするという形になります。あなたのお買い物により、在庫の減った商品をフィリピンの生産者に発注することができます。少し間接的に見えますが、あなたのお買い物が、生産者の次の仕事を作り、生産者の明日を支えることになります。
今回このプロジェクトを実施するにあたり、普段からフェアトレード事業部にかかわり、商品の検品やバザー出展に携わってくれているボランティアさんに、協力依頼をしました。ボランティアさんの中には、フィリピンに行ったことのない人や生産者に会ったことのない人もいます。それでも、日ごろから商品にじっくりと触れ、商品を大切に思い、それを作るフィリピンの生産者やスタッフに思いを馳せ、そして今回コロナウィルスにより打撃を受けている現状に「力になりたい!」と申し出てくれるボランティアさんとチームを組み、取り組んでいこうと思っています。
フィリピンの生産者と、日比アクセススタッフ、ボランティアも含めて、私たちはあなたと一緒に、この状況を乗り切っていきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
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【販売期間】
5/4(月)から5/31(日)(予定) 140セット限定につき、なくなり次第終了します。
※購入方法などの詳細は、別途お知らせさせていただきます。
販売を開始しましたら、メールニュースおよびSNSで告知させていただきます。
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